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レジデンシーとフェローシップの面接に重要な7つのこと

 

レジデンシーとフェローシップの面接に重要な7つのこと

著者:マーク ヘグニー

 
私はこの10年、多くの医師に英語を教える立場に携わって来ました。これまでアメリカのボストンにあるマサチューセッツ・ジェネラル・ホスピタル(MGH)、Brigham and Womens 病院などで、現場の医師たちが英語でのコミュニケーションスキルを向上させることに集中してきました。
 
英語でのコミュニケーションスキルは、米国でレジデンシーやフェローシップのプログラムにに応募するにあたり、必須のスキルとなります。面接の対策には、様々な効果的と言われている方法が存在します。ここでは私の経験と生徒からの意見に基づき、特に医師の面接において私が重要だと思うポイントをまとめることにしました。
 
多くの医師に、米国での面接に合格するにはどうしたら良いのかという質問をいただきます。
 
そこで私は「何よりも大事なのは自信です」と答えるようにしています。それに加えて6つの重視すべき点がありますので、計7つのポイントを一つ一つご紹介します。
 
 
 
 

1 自信

 
自信はどの面接においても重要になりますが、特にレジデンシーやフェローシップといった仕事での面接では自信を持つことは重要になります。
 
では自信とは何でしょうか。
 
自信というのは自分自身を信じることです。自信の能力と資質を自覚している感覚のことを言います。
 
この自信は傲慢さと混同されてはいけません。傲慢さというのは他の人と比べて自身を高く評価すること、そして他の人から学ぶことはない、という姿勢から来ます。
 
自分に自信のある人は、よく聴き、学びます。傲慢な人は他の人の言うことを聞かず、自分のことばかりを話したがります。
 
面接で質問に答えたり、面接官と会話をする場面では、つい傲慢になってしまったり、逆に自信がない態度になってしまうことが頻繁にあります。
 
なぜ適切な自信が重要なのでしょうか。
 
自信はあなたの強さや能力を引き立たせ、あなたがそれを自覚していることを面接官に気づかせます。あなたが自信を持っている場合、あなたはすぐに自らのスキルや強み、そして自分の考え方やゴールについて話すことができます。
 
まず第一歩を踏み出すため、以下の点を自分自身に質問して、答えを考えてみてください。
 
セルフチェック: 
あなたのスキルと能力は何ですか?
あなたはどのくらい自信がありますか?



面接で重要なポイント:
あなたのスキルと能力について明確に言えるようにしておきます。
スキルと能力について、具体的な例を提供してください。
自分について話すことに躊躇しないでください。
面接官の発言や、難解な質問に動揺しないようにしてください。



質問:

What are your strong points?
Why should we hire you?
What makes you a good candidate?

 
もうお気づきかもしれませんが、この質問に答えるには本当に自信が必要なのです。
 

2 プログラムについて調査する

 
この点は忘れてはいけません。
 
特定のプログラムや職務に応募する際、そこの医師や病院がどのようなことをしているか、何で有名かについての事前知識があなたに無い場合、その無知はあなたが面接で話し始めた途端に明らかになってしまいます。
 
典型的なのは、2次面接に通ったらそのプログラムや病院について後から勉強しようというものです。
 
あなたがどのポジションへの面接においても1番の候補者になりたいのであれば、そのプログラムについて事前にできるだけ多くのことを学んでおくことが大切です。
 

面接で重要なポイント:

その病院やプログラムはどのような特徴で知られていますか?
そのプログラムと、病院のトップは誰ですか?
どのような研究に携わっていますか?論文や出版物はありますか?
何か賞を受賞していますか?
その分野では有名ですか?あなたの国や米国で有名ですか?
一緒に働きたい医師はいますか?
そこで働いている医師や、過去に働いていた医師に知り合いがいますか?
 

質問:

Why are you interested in our hospital/program?
 
What do you want to accomplish in this program/hospital?
 

 

3  準備をする

 
これは2の応募先の調査と一緒に行うものです。
 
面接は、準備がとても重要になります。
 
もしレジデンシー・プログラムに応募するのであれば、それは人生を変える重要な面接になるかもしれません。
 
もしフェローシップ・プログラムに応募するのであれば、面接であなたが最適の候補であること、更にその分野についてよく知っていることを示しましょう。
 
つまり、準備がとても大切になってくるのです。
 
そのためには、面接で聞かれると想定される質問には、答えられるようになっておきましょう。それはどのような面接でも聞かれる典型的な質問かもしれません。
 
時には、不意打ちをくらう難易度の高い質問が来るかもしれません。応募者の反応を見るために質問されるもので、それらにスムーズに回答できることが重要です。
 
レジデンシーの場合は、1人のプログラムの責任者との面接になる場合があります。
 
フェローシップの場合は、プログラムの責任者だけでなく、一緒に働くことになるチームが面接に参加するかもしれません。それぞれのメンバーがあなたの応募理由を知りたく、それぞれが独自に質問をする場合もあります。
 
想定される典型的な質問: Why did you become a doctor?

What made you go into medicine?
 
Why are you interested in your specialty?
 
Where do you see yourself in the next 5 years?




技術的な質問:      

Tell me about a difficult case you had. What did you learn from it?
 
What is the typical work-up plan for the condition?

 
難易度の高い質問      

What are some challenges in your specialty?
あなたの診療科において直面する困難なことは何ですか?
 
What are you most afraid of?
あたなが最も恐れることは何ですか?
 
How do you handle criticism?
批判にどう対処しますか?
 
What do you do when you don’t agree with a coworker?
チームメイトに賛同できない時はどうしますか?

 
これらの質問には答える準備をしておきましょう。


4 リスニング

 
相手を「聴く」ことは、軽視されやすいスキルです。
 
これは英語のリスニングの意味ではなく、相手の意図や感情を理解する「聴く」です。
 
何かを聞くとき、私たちはつい自分たちが聞きたい内容や過去に耳にしたことのある内容として理解してしまい、実際に意味したことは理解していないことが多々あります。
 
想定される質問への準備をしていると、スムーズに答える準備はできているかもしれません。しかし、質問にはいつも幅があるものです。
 
この幅のブレの大きさによっては、用意していた答えも変えなければなりません。
 
相手の言うことをよく聴いて理解すると、以下の問題を避けることができます。
 

  • 質問の意図から離れた回答をすることを避ける。

  • 面接官の意図や相手が応募者に対して求めていることを感じ取る。

  • 既に面接内で述べられていたことについて、再度質問をすることを避ける。




面接でユーモアを使うことは有効なことです。面接中にいきなりジョークを言い放つわけではなく、会話の中で自然にです。もし相手がリラックスさせるために言ったジョークや(例えそれが皮肉であっても)ユーモアを聞き逃すとプログラムの責任者やチームメイトとつながるチャンスを失います。



セルフチェック  あなたは人の話を聴くのが上手だと思いますか?
 
面接で重要なポイント:質問が明確に分からない場合は、丁寧に相手の質問を繰り返すことによって聞き直すことは良いことです。
 

5 面接官に誘導してもらう

 
あなたは面接で色々と自分のことを話したくなってしまうかもしれません。しかし面接を進めるのは面接官に任せましょう。
 
面接官はすぐに別の候補者との面接がある場合もあり、あなたとの面接だけに長い時間を使うことできないかもしれません。
 
私の知り合いが面接をした時には、17人の医師の面接を連続で行ったと言います。それぞれの面接は10分から15分間でした。
 
そのプログラムにどのような人が必要かは決まっていて、面接官の頭にもイメージがあります。面接官に会話をリードしてもらうことが重要なのです。
 
面接で重要なポイント:

  • 質問に的確に答えましょう。細かい点を述べたり個性的にするのは良いですが、質問への回答の基幹からは逸れないようにしましょう。

  • あなたの話を聴く面接官のうなずきや表情に注意し、話し続けていいことを確認しましょう。

  • 時間を有効に利用し、自分にとってベストの回答をしましょう。

 

6 自分の経験と応募するプログラムを重ねる

 
応募しているプログラムに、自分の経験を関連づけてみましょう。
 
シンプルですよね。
 
面接では、これまでの経歴と、得意なことを強調しなければなりません。これにより面接官はあなたが何をしてきたか、そして今後どのような活躍ができるかを想定することができます。
 
しかし医師は特定の診療科の専門となっていることが多いですが、その周囲の専門については、経験がない場合があります。
 
例えば、再建手術の専門であれば、その過程については経験があります。しかし、美容整形については経験がないかもしれません。
 
では、もし上で述べた美容整形のように、経験がなかったらどうすればいいのでしょうか。
 
そこはシンプルに、経験を得たい分野であり、学ぶ機会が楽しみであると述べましょう。
 
もしその分野で何も経験がない場合は、関連する経験を持ってきて、聞き手が関係性を見い出すことができるように話すことが大切です。
 
面接で大事なポイント:

  • あなたは、そのプログラムで自分が何をできるかに焦点を絞り、強調します。

  • 応募先のプログラムに関連したり補助となりえる経験についても話に加えます。

  • 関連分野で学べることは学びたいことを強くアピールします

 

7 質問のリストを作成する

 
大抵の面接では、あなたから面接官やチームに質問をする時間が設けられています。
 
この時間はそのプログラムについて知る最高の機会です。
 
正しい質問や間違った質問というのはありません。時々、あまり質問をすると準備不足に見えるのではと心配して質問をしない人もいますが、それは正しくはありません。
質問をすることはそのプログラムに真剣に興味があることを示します。
 
もちろん、この質問をするにも調査と準備が必要です。
 
セルフチェック: 

  • そのプログラムについて、どのようなことを知りたいのか。

  • そのプログラムについて、不安なことは何だろう?

  • なぜ私はそのプログラムでどうしても働きたいのだろう?




面接で大事なポイント:

  • 手術について、平均的な数を訊く。

  • 研究の機会について教えてもらう。

  • メンタープログラムについて尋ねる。

  • プログラムや病院で、何か大きな変更が予定されているかを確認する。




英語のネイティブではないことについて、どう理解してもらうか

 
面接は英語で行われますが、面接の最初に英語のネイティブではないことを前置きしたり、英語が少し苦手であることを謝罪するのは得策ではありません。最初に述べた通り、自信が全てなのです。
 
英会話が苦手なのであれば、あなたのゴールや方向性は見直した方がいいかもしれません。
 
あなたが英語で質問に答えたり、英会話のやり取りをするのにまだまだ訓練が必要なのであれば、上達計画をたててスケジュール通りに勉強をしていきましょう。



さいごに ー 笑顔の重要さ

 
どのような状況であれ、微笑みをたたえましょう。あなたの微笑みのパワーは、あなたが実現したい夢へとあなたを持ち上げて運んで行ってくれるほど、力強いものです。
 
医療という真剣な職業において、これには異論があるかもしれません。しかし明るい表情はあなたを自信があってフレンドリーな人だと思わせ、面接官はあなた個人との関係性と信頼に結びつけます。
 
以上がレジデンシーやフェローシップの面接に際しての7つのポイントでした。
 
面接の準備をするにあたり、改善が必要な点に気づいて指摘してくれる友人や同僚とくりかえし練習をするのはとても良いアイデアです。
 
私たちが提供する医師特化コースの面接試験対策でも、これらの7つのポイントについて一つ一つチェックし、あなたが面接に合格するために、自信を持って落ち着いて面接に挑めるように訓練をしています。よかったら見てください。